500社のうち32社で、入社後の進み方を具体的に確認できた
リブランディングが2026年9月25日に公開した調査では、企業サイトの情報収集が完了した43,332社のうち、自社ドメイン内に採用関連URLが検出された15,349社から500社を無作為に抽出した。
採用ページと同一ドメインの関連ページを最大15ページまで確認した結果、一般職→主任→課長のような役職の順序、1年目→3年目→5年目の役割変化、職種別の進み方など、明確なキャリアパスを確認できたのは32社、6.4%だった。
「将来的にはリーダーや管理職を目指せる」といった短い言及まで含めると52社、10.4%だった。一方、「成長できる環境」「研修が充実」「昇進制度がある」といった一般的な説明だけでは、具体的な進み方が分からないため『あり』には含めていない。
82.2%を「キャリアパスがない会社」と読むのは間違い
411社、82.2%では、今回取得・確認できた範囲で明確または簡易なキャリアパス情報を確認できなかった。しかし調査主体は、この数字を『未掲載率』と表現できないと明記している。
対象は静的HTMLで、採用ページを起点に同じドメインの1階層、最大15ページまで。JavaScriptで描画される情報、より深い階層、別ドメインの採用サイトや外部求人媒体に情報がある場合は拾えていない可能性がある。37社、7.4%は判定不能だった。
一次判定にはAIを使い、『あり候補』や判断が微妙なケースは本文を再確認しているが、第二判定者によるクロスチェックはない。6.4%は日本企業全体の確定値ではなく、この500社と今回の取得条件における観測値として読むのが正確だ。
なぜ重要なのか:転職者の52.6%は前職でキャリア停滞を感じていた
マイナビの『転職動向調査2026年版』では、2025年に転職した正社員1,446人の52.6%が、前職で自分のキャリアに停滞感を感じていたと回答した。
転職理由では『今後の昇進や昇給が見込めないと思った』が15.4%で、前年より1.5ポイント上昇した。特に30代と50代では、この理由の伸びが大きかった。
給与や人間関係といった現在の条件だけでなく、『この先どうなれるか』が見えないことも実際の転職背景になっている。キャリアパス情報が単なる採用広報ではなく、応募者の判断材料になる理由だ。
新卒も、最初の配属だけでなくその後の選択肢を見ている
マイナビが2026年卒予定の大学生を対象にした就職活動準備調査でも、初期配属と入社後のキャリアに対する関心が見られた。
仕事内容が変わる異動について、『自分の希望が叶えられるのであれば異動があっても良い(社内公募制等)』が44.9%で最多だった。調査担当者は、応募時に勤務地や職種が具体的に示されることを学生が前向きに受け止める一方、入社後の長期的なキャリアも見据えていると説明している。
求められているのは、全員の進路が最初から固定された会社というより、初期の役割が見え、その後に自分で選べる移動経路が存在する会社なのかもしれない。
「キャリアパス」というメニューより、実際の移動の証拠を見る
採用サイトに『キャリアパス』という名前のページがなくても、情報がまったくないとは限らない。社員インタビューに現在と過去の役割が載っていたり、社内公募、職種転換、専門職Track、海外赴任の実例から移動経路が読めることがある。
確認したいのは具体的な問いだ。この職種で入社した人は3〜5年後に何をしていることが多いか。管理職以外に専門性を深める道があるか。他職種や他事業への移動実例があるか。海外拠点や大きなプロジェクトにつながる道があるか。
公開情報で分からなければ、面接で『この職種で入社した方が3〜5年後に担う代表的な役割は何ですか』と聞くこともできる。『成長できますか』より、はるかに具体的な情報を引き出しやすい。
BANSEOG VIEW | 求人票は「席」、キャリアパスは「次の選択肢」を見せる
求人票は主に入社時の給与、勤務地、仕事内容、応募条件を示す。一方、数年後の市場価値は、その会社でどんな経験を得て、どこまで役割を広げられるかにも左右される。
転職先を比べるとき、今の年収差だけでなく『この会社で3年働いた後、今より何を説明できるようになるか』を問うとよい。技術、顧客、製品、海外事業、プロジェクトリード、組織運営など、次の会社でも説明できる経験が残るかを見る。
500社調査の6.4%は企業を採点する数字ではない。応募者にとっては、『入社できるか』を確認した後に『入社後にどんな道があるか』を別の情報として探すべきだというサインに近い。
BANSEOG VIEW
Banseog View — 求人票は席、キャリアパスは次の選択肢
500社のうち明確なキャリアパスを確認できたのは6.4%だが、取得範囲の制約があるため日本企業全体の未掲載率には一般化できない。
2025年の転職者の52.6%が前職でキャリア停滞を感じていた別調査と合わせると、長期キャリアの見通しは実際の会社選びとつながる。
応募者は『キャリアパス』ページの有無だけでなく、社員の異動実例、社内公募、専門職Track、職種転換を確認し、不明なら面接で3〜5年後の代表的な経路を直接聞ける。
SOURCES
参照した主な資料
- PR TIMES — 採用ページ500社を調査、入社後のキャリアを具体的に示す企業は6.4%
2026-09-25。15,349社から500社を無作為抽出した方法、明確32社(6.4%)、簡易言及を含む52社(10.4%)、82.2%の解釈制限と調査上の注意点を確認。
- マイナビ — 転職動向調査2026年版(2025年実績)
2026-03-23。2025年の転職者1,446人の52.6%が前職でキャリア停滞を感じ、『今後の昇進や昇給が見込めない』という転職理由が増加したことを確認。
- マイナビ — 2026年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査
2024-12-17。仕事内容が変わる異動について『希望が叶うなら異動があっても良い(社内公募等)』44.9%と、入社後の長期キャリアへの関心を確認。
6.4%は日本企業全体のキャリアパス掲載率を推定する確定値ではない。調査対象は自社ドメインで採用URLが検出された企業から抽出した500社で、静的HTML・同一ドメイン1階層・最大15ページという取得範囲がある。82.2%も『キャリアパスがない』ではなく、今回の確認範囲で情報を確認できなかったという意味である。キャリアパス情報の掲載と応募数・採用成果との因果関係も本調査では確認されていない。