内定をもらっても、決定は終わっていなかった

日本の新卒採用では、内定をもらえば就活はほぼ終わったように見える。企業が学生を選び、学生も企業を選んだように見えるからだ。

レバレジーズが27卒の大学生・大学院生351人を調査したところ、8月末時点の内々定獲得率は77.8%、2社以上から内々定を得た割合は48.5%だった。

内々定保有者の61.6%は一度以上の内定ブルーを経験し、44.0%は調査時点でも不安を感じていた。Offerと最終的な入社意思決定は同じ出来事ではない。

不安の中心は「受かるか」から比較と現実化へ移った

内定ブルーのきっかけで最も多かったのは、周囲の内定先や就活状況と比べた焦り・劣等感で32.1%だった。

続いて、内定承諾書や課題で入社が現実的になったこと29.8%、SNSや口コミサイトのネガティブ情報28.6%、内定後に企業からの連絡やフォローが減ったこと22.0%だった。

選考中は企業から多くの情報が届く。一方、内定後に企業側のcommunicationが減ると、友人、口コミ、SNS、別のOfferがその空白を埋める可能性がある。

別調査では内々定後も就活が続いていた

学情が27卒111人を対象に行った別調査では、内々定を承諾して就活を終えた学生は37.3%だった。

一方、承諾を保留して就活を続ける学生は35.3%、すでに承諾したが就活を続けている学生も21.6%だった。

レバレジーズ調査とは標本が異なるため、数字を合算して一つの市場比率として扱うべきではない。ただ、内々定後も意思決定が続く姿を別の角度から示している。

内定式も、一部の学生には「決定後の行事」ではなかった

同じ学情調査で、内定式に参加予定の企業数は1社が82.4%と大半だった。一方で、2社以上に参加予定と答えた学生も7.8%いた。

少数回答なので、複数社の内定式参加が一般化したとは言えない。ただ、企業が入社確定者を迎える行事と考える内定式が、一部候補者にはまだ比較過程の中にあることを示す。

Offerを出したことと、候補者のChoiceが完全に閉じたことは同じではない。

学生が求めたのは、最後の判断を支えるEvidenceだった

学情の別調査で内定式の意味を聞くと、43.2%が「その企業に入社する意思を固める場」、20.7%が「入社する企業として適切か改めて確認する場」と答えた。

入社までに希望するフォローは、内定者同士の交流会55.0%に続き、働き方・休暇36.9%、給与・手当・福利厚生36.9%、仕事内容・配属・勤務地35.1%、配属予定部署や若手社員との交流32.4%だった。

最後の意思決定で求められるのは、抽象的なEmployer Brandingよりも、実際にどこで何をし、どの条件で働くのかを確認できる情報に近い。

採用FunnelはOfferで終わらないかもしれない

従来の採用Funnelは、応募、選考、内定で終わるように見える。しかし複数Offerを持ち、内定後も企業情報を比較するなら、実際のプロセスはもう少し長い。

応募 → 選考 → Offer → Comparison → Verification → Joiningという区間が生まれる。

Banseogはこの内定後の区間をPost-Offer Decision Marketと見る。候補者は選ばれた後も、企業をもう一度選んでいる。

内定者フォローは、囲い込みよりEvidence Deliveryへ

歓迎イベント、食事、グッズ、経営者メッセージにも意味はある。ただ、学生が最後に知りたいことが仕事内容、配属、勤務地、給与、休暇、実際のチーム経験なら、企業側の情報提供も変わる。

「成長できる」より最初の1年に何をするのか。「良い文化」より実際のチームがどう働くのか。「福利厚生が充実」より給与・手当・休暇が具体的にどう運用されるのか。

内定者フォローは、気持ちをつなぎ止める活動だけでなく、候補者が自分の判断を検証できるEvidence Deliveryになり得る。

早く始めても、必ず早く終わったわけではない

レバレジーズ調査では、大学3年の4〜12月に本格的な就活を始めた学生の平均活動期間は9.3か月だった。

大学3年の1〜3月開始は平均3か月、大学4年の4月以降開始は1.5か月だった。

各グループは志向や構成が異なるため、早期開始が長期化を引き起こすという因果は言えない。ただ、今回の標本では早期化が自動的に早期終了へつながってはいなかった。

BANSEOG VIEW | Offerは採用の終わりではなく、意思決定市場の始まりになり得る

一つの調査では内々定保有者の44.0%がまだ不安を感じ、別調査では内々定後も就活を続ける学生が確認された。

さらに学生は内定式を入社意思を固めたり、企業を再確認したりする場と捉え、入社前には働き方、給与、仕事内容、配属などの具体情報を求めていた。

企業の採用競争は、誰が先にOfferを出すかで終わらない可能性がある。Offer後に候補者の最後の疑問へ、誰がより明確なEvidenceを返せるかまで続く。

採用の最後は、候補者が自分の決定をもう一度開き直す必要がなくなった時に来るのかもしれない。

Banseog View — Offer → Comparison → Verification → Joining

27卒調査では、内々定後にも不安と比較が続く姿が見えた。

候補者が内定後に求める情報は、仕事内容・配属・勤務地・給与・働き方など、入社後の現実を検証できるEvidenceに近い。

内定者フォローは単なるRetentionから、Post-Offer Decision MarketにおけるEvidence Deliveryへ広がる可能性がある。

参照した主な資料

3調査は調査機関・標本・質問が異なるため、比率を同一母集団として合算・直接比較しない。内定式に2社以上参加予定の7.8%は少数回答であり一般化しない。就活開始時期と活動期間の差も因果関係として解釈しない。Offer → Comparison → Verification → Joining、Post-Offer Decision Market、Evidence Deliveryは公開調査をつないだBanseogの分析フレームである。