採用を止めた会社が、なぜ過去最大の新卒採用を発表したのか
韓国のゲーム大手KRAFTONは2026年10月13日、2027年採用連動型インターンシップで新卒人材100人超を選ぶ計画を発表した。新卒の公開採用としては同社史上最大の規模だという。募集はAI研究やゲーム開発にとどまらない。
ところが、約11カ月前の2025年11月4日の決算説明では逆の方針が示されていた。AI Firstへの転換に合わせ、新しいゲームIPの開発とディープラーニング関連の人材を除き、全社的な採用を凍結したと経営陣が説明した。すべての採用を完全に停止したわけではない。
今回の募集をもって以前の採用制限がすべて正式に解除されたと断定することもできない。変化の中心は単なる人数ではなく、会社が入社前に確認したい能力の定義にある。
「100人超の採用」は正社員100人の内定ではない
今回の制度は採用連動型インターンで、韓国内外の大学卒業者と卒業予定者が対象となる。応募受付は2026年10月13日正午から23日午前11時59分まで。いずれも韓国標準時であり、応募する際は公式採用サイトの職種別条件を確認する必要がある。
公表された選考は書類、適性・性格検査、AI能力評価、One Day Interview、最終選考という順番だ。試験と面接は11~12月、合格発表は2027年1月が予定されている。
合格者は2027年2月から5カ月間現場で働き、評価を経て7月に正社員へ登用するか判断される。100人超という数字はインターン段階の募集計画であり、同数の正社員雇用が確約されたものではない。
AI研究職だけでなく、事業や管理部門にも求める力
募集対象はAI研究、テクノロジー、管理・支援、事業、ゲーム開発プログラミング、ゲーム開発企画の計6職種。KRAFTONはAIを仕事に活用する能力に加え、幅広い思考力やグローバルに対応する力を見るとしている。
ゲームのプログラムを書く人と事業計画を作る人では、同じAIツールを使っても仕事の責任も成果物も違う。大切なのは全員が同じ技術者になることではなく、それぞれの仕事に必要な判断をAIとどう組み合わせるかだ。
一方、全職種で同一の課題や採点基準が使われるとは公表されていない。応募者は「AIが使える」という一般論より、志望職種の課題を自分がどのように理解し、解決したかを整理したい。
Cofa-Probeは、完成品の出来だけを見る試験なのか
今回の選考にはKRAFTONが開発したAI人材採用・評価ツールCofa-Probe(コファ・プローブ)が使われる。従来の自己PRやコーディングテストとどう違うのか、応募者にとって最も気になる点だろう。
2026年7月にCJ Olive Youngと実施したAI関連の採用イベントと、8月に公表された評価方針では、AIとの協働過程に焦点が当てられていた。課題の定義、AIへの指示、結果の見直し、検証といった行動を完成物とあわせて捉えようとする。
ただし、過去のイベントで観察された方法が今回の新卒全職種にそのまま使われると考えるのは早い。課題内容、制限時間、利用可能なツール、採点配分などは今後の正式案内で確認すべき事項だ。
7月には別の企業のエンジニア採用にも使われていた
CJ Olive Youngは2026年7月21日、経験者の開発職採用で従来のライブコーディングに代えてAI課題を行うと発表した。その選考で採用した評価ツールがKRAFTONのCofa-Probeだ。両社は7月30日、採用につながるAIハッカソンも共催した。
Olive Youngの説明によれば、最終的な成果物だけでなく、問題の捉え方、プロンプトを含むAIの使い方、試行錯誤、結果検証まで多面的に見るという。製品やコードを素早く生成するだけでは測れない行動を採用判断に取り込もうとする試みだった。
ただし小売企業の経験者エンジニア選考と、ゲーム会社の新卒採用では仕事も目的も違う。同じツールを使うことと同一の試験を課すことは別である。この区別をしないと就職対策も誤った方向へ進みかねない。
応募者はプロンプト集より何を準備するべきか
公開された評価方針から考えると、実際にAIを使って取り組んだ課題を一つ選び、作業を振り返ることが役に立つ。何を問題と考え、どの情報を使い、AIの提案をどこで疑い、結果をどう確認したのか。自分の言葉で説明できるかがポイントになる。
プログラミングならテストとデバッグ、企画なら出典の確認や選択肢の比較など、検証の形は職種によって異なる。便利なプロンプトを暗記することと、出力結果に責任を持てることは同義ではない。
これは公表された選考思想に基づく準備の提案で、KRAFTONが出題を予告したわけでも合格法を保証するものでもない。応募条件や課題の詳細については会社からの追加通知を優先したい。
AI投資と採用増減を単純につなげられない理由
2025年のKRAFTONはAI First戦略の一環として約1,000億ウォンのGPUクラスター整備を打ち出した。人員の増加を一部で止めた時期、経営陣は個々の生産性を高めることを判断の背景として説明していた。
2026年10月の新卒採用では、AIを利用する新事業を拡大するにあたり、それを担う人材が必要になったと説明する。だからといってAIが具体的に何人分の仕事を置き換えたのか、既存部門の採用制限がどう変更されたのかまで分かるわけではない。
組織にすでにいる専門家の経験、新人が持ち込むAI活用能力、それを入社前に確認する仕組み。三つを別々に見れば、同じ企業がある時期に採用を抑え、別の時期に新人を募ることを単純な矛盾として扱わずに済む。
BANSEOG VIEW|変わったのは人数だけではなく「能力の測り方」
約11カ月の間にKRAFTONが示したのは、例外付きの採用凍結と、AI活用力を重視する過去最大の新卒インターン募集だった。採用を再開したかどうかだけに注目すると、その間に進んだ評価ツールの試行が見えなくなる。
AIを使って仕事を進める能力を重視することと、ある試験がその能力を公正に測り、入社後の成果を予測できることは別の問題だ。課題を定義し、成果を修正し、検証する過程を観察する試みには意味があるが、職種間の公平性や実際の有効性は今後も検証が必要だ。
求職者には二つの問いが残る。AIを使って仕事を完成させられるか。そして、その結果が信頼できる理由を説明できるか。企業側にはもう一つある。そうした違いを採用の現場で、どう見分けるのか。
BANSEOG VIEW
Banseogの視点 — 新卒採用で変わる能力の確かめ方
2025年11月の採用凍結には新規IP開発とディープラーニング関連の例外があった。2026年の100人超という数字もインターン採用計画であり、正社員確定人数ではない。
過去にCJ Olive Youngの開発者選考やハッカソンでCofa-Probeが使われた事実から、KRAFTONの新卒全職種で課題や採点方法が同じだと推定してはいけない。
職種ごとの専門性を保ちながら、AIで仕事を進める力と出力結果を確かめる判断力をどう測るか。これが今回の動きから読み取れる人材戦略上の論点である。
SOURCES
参照した主な資料
- KRAFTON採用サイト|2027年採用連動型インターン
職種別の応募資格と追加通知は公式サイトで最終確認する。
- ソウル大学コンピュータ工学部|KRAFTON配布の募集案内(2026年10月13日)
受付10月13日正午~23日11時59分(韓国時間)、適性検査、AI評価、One Day Interview。
- News1|KRAFTONの新卒100人超採用(2026年10月13日)
計画人数、6職種、Cofa-Probe、5カ月インターンと正社員登用評価の予定を確認。
- 聯合ニュース|2025年決算説明と採用凍結(2025年11月4日)
新規IP・AI人材を除外した凍結、AI FirstとGPU投資に関する説明。
- CJニュースルーム|Olive YoungのAI課題にCofa-Probe導入(2026年7月21日)
同社の経験者開発職向け事例。課題設定・プロンプト・改善・検証過程の評価方針。
- News1|Cofa-ProbeでAI協働過程を評価(2026年8月30日)
7月のハッカソンでの活用と評価理念を紹介。今回の採点詳細ではない。
- イートゥデイ|KRAFTON新卒インターン募集発表(2026年10月13日)
100人超、6職種、AI能力評価、2027年のインターンと登用予定を照合。
2026年10月14日時点。2025年11月4日の採用凍結は新規IPとディープラーニング関連人材を除く限定的な措置だった。2026年10月13日公表の100人超は2027年採用連動型インターンの募集予定数であり、正社員登用の確定数ではない。募集締切は大学に配布された公式採用案内で10月23日午前11時59分(韓国時間)。CJ Olive Youngと過去のハッカソンにおけるCofa-Probeの運用は今回の全職種共通試験・配点・利用ツールを証明しない。評価の公平性・入社後成績との関連について本稿は実証結果を提示しておらず、人材戦略部分はBanseogの分析である。