AIフォーラムなのに、チャットボットは最初の1時間で通り過ぎる
Samsung Electronicsが9月30日にソウルの瑞草社屋で開催するSamsung AI Forum 2026の公式テーマは「The Agentic Shift: From Intelligence to Impact」だ。
最初の基調講演はOpenAIの「Chatbots to Agentic Workflows」。その後はAWSの全社的AIインパクト、物理世界に根ざしたAgent、Self-Evolving Expert Agent、Agentic AIとPhysical AIの融合へと続く。
プログラムだけでSamsungのAI戦略全体を決めつけることはできない。ただ、今年のフォーラムがAIを質問に答える道具よりも、実際の業務や製品の中で動くシステムとして扱っていることは明確だ。
最初の移動はChatbot → Workflow
チャットボットは、人が質問しAIが答える構造に近い。Workflowでは、仕事を段階に分け、必要なツールを使い、出力を検証し、次の工程につなげる必要がある。
これは人材にも重要な違いだ。プロンプトが上手いことと、自分の業務をAIが実行できる形に構造化することは同じ能力ではない。
AI活用が個人の対話から業務プロセスへ移るほど、必要な能力はTool UsageからWorkflow DesignとVerificationへ広がる。
二つ目は個人生産性 → 組織生産性
AWSの基調講演タイトルは「From Individual Productivity to Enterprise Wide Impact」だ。一人の社員が速くなることと、会社全体の生産性や意思決定構造が変わることは別問題である。
全社導入では、何を自動化するか、AIにどこまで権限を与えるか、どのデータやシステムと接続するか、誰が誤りを確認するか、成果を何で測るかまで設計しなければならない。
そのためAI能力は、個人の利用スキルだけでなく、組織の仕事と統制点を設計する能力にも広がる。
三つ目はDigital → Physical
午前には物理世界に根ざしたAgentが扱われ、午後のDX部門AI TechnologyトラックにはPhysical AIが独立したセッションとして置かれている。
AIがソフトウェアの外に出てロボットや実製品を動かすと、モデルだけでは足りない。センサー、制御、ハードウェア、安全、システム統合、現実世界の不確実性が同時に入ってくる。
必要な人材も単一のAI職種では説明しにくくなる。Domain ExpertiseとAIをシステムレベルでつなげる役割の価値が高まる可能性がある。
四つ目は完成したモデル → 学び続けるシステム
Samsung Researchの午前基調講演はContinual LearningによるSelf-Evolving Expert Agentを扱い、DXトラックの最終セッションもContinual Learningだ。
一度モデルを作って配備すれば終わりではなく、環境やデータが変わるたびに学習し、観察し、検証し、改善するシステムを前提としている。
この構造では、学習・配備・監視・検証・改善を一つの運用サイクルにつなぐ能力が重要になる。
DSトラックの最後は「Toward AI-Native DS」
午後のDS部門AX Innovationトラックは、DellのAI-Native Enterprise、Anthropicの安全な業務活用を経て、Samsungの「Toward AI-Native DS」で終わる。
AI-Nativeを既存業務にツールを一つ追加することだけで捉えると狭すぎる。AIが最初から存在する前提で、業務・自動化・判断・検証の構造を設計する問題に近い。
設計、工程、製造、品質、設備、データが複雑につながる半導体事業では、ドメイン専門性とAIシステム設計を結び付ける力が重要になる。
フォーラムの言葉だけではない。半導体業務ではすでにmulti-agent workflowが登場している
Samsung Electronicsは2026年3月のNVIDIA GTCで、DS部門のAgentic AIによる半導体設計・製造戦略を公開した。
公式資料では、アナログ設計で強化学習や遺伝的アルゴリズムを使い、将来的にはschematic agentとlayout agentが継続的にフィードバックするmulti-agent workflowへ進む方向を示している。
製造ではAgentic AIとDigital Twinを組み合わせ、設備・工程・歩留まりを統合管理し、長期的にはroboticsとAIを統合したautonomous AI factoryを目指すとしている。9月フォーラムのAgentic WorkflowやAI-Native DSは、抽象的な言葉だけではない。
求職者に必要な質問も「AIを使えるか」から一段深くなる
このフォーラムをSamsungの採用基準として読むべきではない。ただ、自分の職務をAI時代にどう説明するかという問いは作れる。
自分の業務のどこをAIに任せられるか。出力を何で検証するか。人が最後まで責任を持つ判断はどこか。ドメイン知識とAIをどのWorkflowで結び付けられるか。
AIツール名を並べるより、実際の仕事の問題、AIの役割、検証ポイントを一緒に説明する方が強いEvidenceになり得る。
BANSEOG VIEW | AIを使う人から、AIが働く構造を作る人へ
Samsung AI Forum 2026は、Chatbot、Agentic Workflow、Enterprise Impact、Physical AI、Continual Learning、AI-Native DSへと進む。
Banseogはこの順序を、AI活用の単位が個人のツールから業務システムと組織構造へ広がる公開capability signalとして読む。
この方向が続けば、人材戦略の問いも「AIを使えるか」から「自分の領域でAIが実際に働く構造を設計し、その結果を検証できるか」へ移る可能性がある。
必要な組み合わせはDomain Expertise + AI Workflow Design + Verification & Judgment + System Integrationに近づく。
BANSEOG VIEW
Banseog View — AI User → AI Workflow Designer
Samsung AI Forum 2026はAgentic Workflow、Enterprise Impact、Physical AI、Continual Learning、AI-Native DSを一つのプログラムに並べている。
Samsung DSはGTC 2026でも、半導体設計・製造におけるmulti-agent workflowとAgentic AIの具体例を公開した。
これは公式採用基準ではなく、技術・組織アジェンダから読むcapability signalであり、核心はAI利用そのものよりも、ドメイン業務をAIが実行できる構造に設計し、検証する力にある。
SOURCES
参照した主な資料
- Samsung Semiconductor — Samsung AI Forum 2026
2026年9月30日の開催日程、公式テーマ、OpenAI・AWSの基調講演、Physical AI、Continual Learning、Toward AI-Native DSのプログラムを確認。
- Samsung Semiconductor — NVIDIA GTC 2026におけるAgentic AI半導体エンジニアリング
2026年3月に公開されたSamsung DSのAgentic AIによる半導体設計・製造、multi-agent workflow、Digital Twin、autonomous AI factoryの方向性を確認。
Samsung AI Forum 2026は技術フォーラムであり、採用公示や人事方針の発表ではない。したがって、プログラムをSamsungの公式採用基準として一般化しない。「AI User → AI Workflow Designer」およびDomain Expertise + AI Workflow Design + Verification & Judgment + System Integrationは、公開プログラムとSamsung DSの技術資料をつないだBanseogの分析フレームである。