15日で暫定CEO候補、35日目に正式オファー。依頼する役職が変わった
経営陣が必要な企業が、ヘッドハンティング会社にCEO候補を探してほしいと依頼する。まず暫定CEO候補が見つかり、その人物に正式CEOのオファーが出た後、もともとの正式CEOサーチが独立社外取締役の選任へ切り替わる。2026年10月15日、グローバルのエグゼクティブサーチ企業Trueは新しい専門組織の発表とともに、このような再建企業での事例を紹介した。
Trueの発表では、暫定・一時的な経営幹部を扱うTrueBridgeが15日間で暫定CEO候補を特定した。その間にTrue Searchは正式CEOを探すプロセスを進められたという。プロジェクト35日目に取締役会が暫定CEOへ正式CEOのオファーを出したため、進行中の正式CEOサーチは独立社外取締役の選任へ切り替わり、その後、新しいCTOも選任したと同社は説明する。
注意したいのは15日という数字が候補者の特定までであり、入社日や就任完了までの期間ではないことだ。35日目も正式なオファーであって、承諾や正式就任が確認された日ではない。企業名、費用、再建後の成果は公表されていない。これは提供会社が紹介した一事例であり、業界全体の平均選任期間ではない。
今すぐ経営を続けることと、長期的に正しいCEOを選ぶことは違う
経営が不安定なとき、資金繰り、重要な取引先、社員、事業再編についての判断を先送りできない場合がある。しかし会社を数年間任せる正式CEOを比較・評価するには時間も必要だ。企業が直面するのは、まず意思決定を止めないことと、次の成長や再建を任せる責任者を選ぶことという二つの課題かもしれない。
この二つは同じ時間軸で解かなければならないとは限らない。暫定経営者を置くことは長期の候補選定を進める間の一つの選択肢になる。ただし暫定配置にも費用、組織への適応、権限をどこまで渡すかという問題がある。急いでいる企業のすべてに有効な処方だと断定してはいけない。
今回の事例で特に興味深いのは、暫定CEOに正式オファーが出た後、別のCEOを探し続けるのではなく、取締役会に必要な人材を探す方向へサーチが転換したことだ。企業が必要としていたものを役職の一つの空席ではなく、経営を成り立たせる機能の組合せとして考え直した可能性がある。
プライベートクレジットでは、なぜ経営陣の時間が問題になるのか
Trueが新設したのはプライベートクレジット分野の専門サーチ組織だ。企業への融資を扱う投資家が、資金難の会社で所有者としての立場に変わる場合などには、経営の安定化と長期的なリーダー人事を同時に考える必要が生まれ得る。同社は一部の案件で経営陣の変更に60日以内という法的な時間制約が関わることもあると説明するが、すべての融資案件に共通する法定期限という意味ではない。
PwCが2026年5月に公表した120人超の運用担当者への世界調査では、67%が競争激化、64%が債務不履行や信用損失を2026年の運用成果に影響する要因として挙げた。これは市場のリスクをどのように認識しているかという回答であり、実際に64%の投資先が倒産したという統計ではない。
運用する企業が多様になれば、成長を加速する企業と危機を乗り越える企業で求めるリーダー像は変わる。ただしPwCの市場調査とTrueが紹介した個別企業の採用事例は別の資料だ。数字をつなげて、その顧客企業が実際にどのような信用損失を抱えていたか推定することはできない。
なぜ正式CEOのサーチが独立社外取締役のサーチになったのか
エグゼクティブサーチはCEO、CFO、CTOなど、まず役職名を指定して始まることが多い。サーチ会社は必要な経験を定義し、候補市場を調べて評価する。しかしプロジェクトの途中で経営陣の構成が変われば、最初に設定した空席をそのまま埋めるべきか、もう一度確認する余地が生まれる。
Trueの事例では暫定CEOへ正式なオファーが出た後、True Searchが担っていた正式CEOサーチを独立社外取締役の選任へ転換した。会社はその選任を成功させ、続いてCTOも配置したと報告する。社外取締役が実際に何を監督したのか、CTOがどの技術課題を解決したのかまでは公表されていない。
したがってCEOが不要だったとか、独立社外取締役の選任だけが正解だったと結論づけることはできない。確認できるのは進行中のサーチの対象が変わったことだ。顧客企業に必要な経営機能が既に満たされているか、新たに不足する機能は何かを確認することの重要性が見える。
暫定経営者と正式経営者は、契約期間だけで区別できない
Trueは暫定・一定期間の経営幹部を扱うTrueBridgeと、正式な経営幹部の採用を扱うTrue Searchを連携させている。TrueBridgeの公式説明では、暫定経営者は移行期間や正式な後任が選ばれるまで一定期間フルタイムで組織に加わる役割とされる。こうしたサービスを使えば急な空白への対応と長期的な選任を別々に進められる。
暫定CEOには直近の事業判断を行う経験が重要かもしれない。一方、正式CEOには数年間の事業転換や投資、人材育成、取締役会との関係を継続して担う能力も求められ得る。ただし暫定は危機専用、正式は成長専用という単純な分類ではない。責任の内容は会社の事情と選任目的によって変わる。
実際、今回の暫定CEOには正式な役割のオファーが出た。一人の人物が短期の安定と長期の課題の双方に適している可能性もあるということだ。ただしオファーの承諾、就任の実行、期間終了後の評価はTrueの公開資料だけでは判断できない。
優秀なCEOを探す前に、どの経営問題を解くのか定義する
企業はしばしば『優秀なCEO』『経験豊富なCFO』を探してほしいと依頼する。しかし同じ役職でも、現金管理を改善する局面、新製品の事業化、買収後の統合、事業の再建では必要な能力が違う。以前の企業で大きな成果を上げた候補者でも、その経験が今回の環境に移転できるかを確認する必要がある。
サーチ依頼を作るとき、最初の90日間に何を実行すべきか、その後2~3年間に何の結果へ責任を持つか、既存の経営陣と取締役会の権限をどう分担するかを明確にする方法が考えられる。肩書や知名度だけでなく、任務に合う実績と判断を比較しやすくなるからだ。
もちろんすべてのサーチファームが企業戦略コンサルティングを担当する必要はない。職務と求める能力が既に明確なら、その条件を満たす人材を効率よく探すことは重要だ。しかし経営環境が急速に変わるときは、最初の依頼内容が今も有効かを見直す手順が価値を持ち得る。
経営陣の採用依頼を変更するとき、企業が確認する四つの条件
経営幹部のサーチを評価する際、候補者が見つかるまでの日数は一つの指標だ。ただしTrueの15日と35日は同社が紹介した特定案件の経過であり、契約費用や結果、就任の承諾まで証明したものではない。すべてのCEOを同じ期間で見つけられる保証でもない。
Banseogは顧客企業が四つのことを確認するよう提案する。第一に、今回の経営者が解決すべき具体的な問題は何か。第二に、今すぐの経営空白と長期的な能力確保を別々に考えるべきか。第三に、採用プロセスの途中で既に補われた経営機能と不足する機能は何か。第四に、依頼する役職を変更するとき誰がどの根拠で承認するのか。
これらはTrueの契約条件や業界の一律の規則ではなく、公開事例に基づくBanseog独自の確認項目だ。依頼の変更は顧客企業の権限と合意に基づく必要があり、急ぐ場合でも適切な候補者評価、守秘義務、利益相反の管理を省いてよいことにはならない。
BANSEOG VIEW|サーチ依頼書には役職があるが、経営問題は動く
2026年10月15日にTrueが公開した事例では、15日間で暫定CEO候補を特定し、35日目に正式CEOのオファーが出た後、正式CEOサーチは独立社外取締役のサーチへ転換した。さらにCTOを選任したとされる。ただしオファーを受けた人物が正式に就任したか、事業再建がどの程度進んだかは公開されていない。
ここでBanseogが注目するのはサーチの速さよりも対象の変化だ。CEOの空席を埋めること、意思決定を止めないこと、取締役会の監督機能を強化すること、技術の実行体制を整えることは違う経営能力である。企業の状態が変われば、それらを確保する順番も最初の依頼内容とは異なるかもしれない。
優れたヘッドハンティングとは、いつも依頼内容を変更することではない。最初に設定した役割が今も経営上の問題を解決するかを確認できることだ。企業が買おうとしているのは特定の肩書に合う履歴書だけではなく、その人物の選任によって組織が実際に何をできるようになるかという結果なのかもしれない。
BANSEOG VIEW
Banseogの視点|依頼した役職より、今の経営課題が重要になる
Trueが公開した一事例では暫定CEO候補を15日で特定、35日目に正式CEOのオファーがあり、別のCEOを探す仕事を独立社外取締役の選任に切り替えた。その後CTOも配置した。オファー承諾や企業再建成果の確証ではない。
経営の連続性を守ること、長期の経営能力を備えること、取締役会の監督と技術事業の実行を強化することは、異なるリーダーシップの機能だ。変化する企業では必要な順番も変わる。
Banseogは採用依頼の変更を無条件に推奨しない。顧客が本当に解決したい問題、緊急性と長期性の違い、既に補った機能、依頼内容の変更を承認する根拠を確認することが重要だと考える。
SOURCES
参照した主な資料
- True|Private Credit Practice新設と暫定CEO・社外取締役・CTOの選任事例(2026年10月15日)
Trueの公式発表。再建中の非公表企業でTrueBridgeが15日間で暫定CEO候補を特定。35日目に取締役会が暫定CEOに正式CEOのオファーを出し、継続していた正式CEOサーチを独立社外取締役の選任へ切り替え、後にCTOも選任したと述べる。オファーの承諾や就任・再建成果・費用は公表されていない。所有権移転時の60日以内の経営陣移行は一部案件の条件であり全取引の法定共通期限ではない。
- PwC|Global Private Credit Survey 2026(2026年5月26日)
世界のプライベートクレジット運用担当者120人超への調査。67%が競争激化、64%が債務不履行・信用損失を2026年の運用成果に影響する要因として選択。実際に64%の企業が債務不履行に陥ったことを意味せず、Trueの非公表顧客企業の損失も確認しない。
- TrueBridge|Interim Leaders・暫定経営幹部サービスの公式説明
正式な後任を探す間に暫定経営者を配置し、移行期の経営継続を支える仕組みについてのTrueBridge公式紹介。暫定経営者は原則として一定期間フルタイムで働く役割で、非常勤型とは異なる。Trueによる個別事例の独立検証ではない。
2026年10月18日作成。Trueの2026年10月15日公式発表『Private Credit Practice』の事例:再建中の非公表企業における守秘性の高いCEO人材確保でTrueBridgeが暫定CEOの『候補者』を15日以内に特定。True Searchが正式CEOサーチを進め、35日目に取締役会が暫定CEOへ正式CEOのオファーを出した。その後、正式CEOサーチを成功した『独立社外取締役』の選任へ転換し、さらに新CTOを配置したという。同社の発表はオファーの受諾、正式就任、具体的な契約金額、再建の財務成果を示していない。15日は候補者特定であって就任完了ではない。貸付人から所有者に立場が変わる一部の案件で60日以内の交代が法的条件となる可能性があるとTrueは記載するが、市場共通の法定規則ではない。PwCが2026年5月26日に公表した世界120人超のプライベートクレジット運用担当者調査:67%が競争激化、64%が債務不履行や信用損失を2026年の運用成果に影響する要因と回答。これは実際の企業倒産率やTrueの顧客の信用損失を意味しない。TrueBridge公式サービス説明は同じ企業グループの資料であり独立検証ではない。役職から経営上の必要機能へサーチを再定義するとの主張はBanseog独自の推論。10月16日Off-Limits記事は候補者市場への接触制約、10月17日COO/CHRO記事は内部・外部の経営承継に関する別の分析。本件は進行中の採用依頼の対象を見直す判断に集中する。